続・佐々木敏光句集/『富士山麓・晩年』(邑書林)俳句集
               続・佐々木敏光句集 『富士山麓・晩年』

「学生時代に歩いた京都を訪い フランスパリを、奈良を逍遥し、東北にも足を向ける
そして富士山麓定住の家での日常に「俳」を育てる  さまざまな思索を突き抜けた平明なる五七三句!
 「二十代に書いた短編のレジユメ前書付き俳句」収録」(帯の文)

ウエブ版『富士山麓』5年分から抽出
タイトルは「晩年や前途洋洋大枯野」より

   自選三十句
           
万緑や淋しき首を窓に置く
銀漢や人順番に死んでゆく
歳晩や鼻歌いつか第九へと
秋の暮どうにかなるとただ思ふ
裏山を森へなだるる霧の塊(くわい)
泥濘(ぬかるみ)や牛蚊虻(ぶんばう)に油断すな
わが脳のプールを泳ぐ小人たち
春風や死にゆくために敬礼す
生命とは溢るるものぞ雲の峰 
秋夕べ富士隣人のごとく立つ
富士ひとつ月もひとつの良夜かな
全機ありわれらの空の雪の富士
目の前に蓑虫揺るる余生かな
わが家へと吹かれて来たる蛍かな
いつか死ぬわたくしでした曼珠沙華
美しき雉の戦ふ冬田かな
巨大なる蛾ののぞきゐるよその家
夢の世にうつつありけり原爆忌
秋の暮歯医者で口を開けてゐる
ふるさとの枯枝にある懸り凧
孤独だと思へば孤独夏祭り
朧夜のわれや本来無一物
鳥ゐない鳥籠無敵秋の風
巨大なる蛾ののぞきゐるよその家
  昔ギロチンによる処刑がおこなはれてゐた広場
コンコルド断首の魂(たま)のごとき月
悪魔的便秘居座る雲の峰
  石巻日和山神社 三・一一、三年半後
鈴鳴らす死者へ津波へ原発へ
  東京
ぎつしりと人湧いてくる大枯野
炎帝は核融合をしてをられ
       ☆
マツカーサー来たる原爆投下以後   「二十代に書いた短編のレジユメ前書付き俳句」より 

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ネット紹介(『富士山麓・晩年』)

 筆まか勢 「続・佐々木敏光句集「富士山麓・晩年」を読んで」

 大井恒行の日日彼是
「「冬の沼おぼろなるものたちのぼる」(『富士山麓・晩年』)」

 閑中俳句日記(別館) −関悦史−
 【十五句抄出】続佐々木敏光句集『富士山麓・晩年』

 千野 帽子『人はなぜ物語を求めるのか』
「そして負けたさうなるはずの戦争を」 (『 富士山麓・晩年』)」

 草深昌子のページ 

 月曜日の一句(相子智恵・ウラハイ)「万緑の一角揺れて友来たる(『 富士山麓・晩年』)」 

 俳句の苑 松野苑子

 虹の島 (俳諧師 前北かおる)

新聞 コラム

 「美しき雉の戦ふ冬田かな」【讀賣新聞朝刊 長谷川櫂「四季」】  

 「寒月光夜の女王然と富士」【【愛媛新聞朝刊 土肥あき子「季のうた」】  

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 経緯(いきさつ)があり、現在出版社(邑書林)には、本書の在庫はありません。
 「アマゾン」、「日本の古本屋」などで入手できるかも知れません。
  【本書贈呈の企画 終りました】