2012年9月16日【大自在】 (静岡新聞 朝刊)
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2012年9月16日【大自在】(静岡新聞 朝刊)    (2012/9/16 07:45)  学校行事の目玉、文化祭がしきりだが、今年はどんな工夫を凝らしているのか。何より読書の秋。子 供たちは普段に増して朝読[あさどく]や家読[うちどく]に励んで感想文に追われるだろう。日常の 思いを整理するにも読書は手堅く、親しみ少ない大人たちも夜長の一時を割きたい ▼びっしり活字が埋まってはとためらいがちな向きには一行また一行と思い巡らすことができる句集が 格好か。定年後に句作を再開、富士山麓に定住した佐々木敏光さんの「富士・まぼろしの鷹」(邑[ゆ う]書林)はお薦め ▼<親も子も戦争知らずカンナ燃ゆ>には時代はまさに駆け足そのものとも覚えさせられ、茨木のり子 の詩「根府川の海」を思い出す。戦中戦後の娘心に車窓から見つめた<根府川/東海道の小駅/赤いカ ンナの咲いている駅>は断崖上に建つが、関東大震災は車両もろとも丸のみ多くの犠牲者を出した ▼さらに茨木がうたった<わたしが一番きれいだったとき/街々はがらがら崩れていって/とんでもな いところから/青空なんかが見えたりした>も浮かばせ、一句が知る限りを連綿と引き寄せてくる ▼新潟出雲崎の漁師斉藤凡太さん87歳の初句集「磯見漁師」(角川書店)も手に取りたい。<思ひ出 す亡妻の旧姓遠花火>をはじめ、70歳過ぎてからの投句集は世間に振り回されることなく漁にいそし み続ける姿勢が貫く ▼出雲崎は良寛を育み、芭蕉が<荒海や佐渡に横たふ天河>を詠んだ地。秋の日本海は一段と荒だって くる。天険親[おや]不知[しらず]子[こ]不知[しらず]も近く、<秋深む深酒するなと子の便り >はひたすらに胸を打つ。




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